「ひとに優しい精神科病院」を目標に、個々への配慮、カウンセリングを重視した精神科医療を展開します。

 

理事長ブログ

 

理事長の一言  「精神科医療の新しい話題」は下にスクロールして下さい。

理事長の一言  「精神科医療の新しい話題」は下にスクロールして下さい。
 
ゴッホ展-巡りゆく日本の夢-
 北海道立近代美術館で開催されているゴッホ展を観ました。テーマは「巡りゆく日本の夢」。フィンセン・ファン・ゴッホ(1853年オランダ生まれ)は、日本の浮世絵版画を模写した油彩画を描き、構図や色彩を学び取るなど、浮世絵がゴッホの絵画表現に大きな役割を果たしているのだそうです。当時のパリは、ジャポニズムといって、日本趣味ブーム。19世紀中の万国博覧会へ出品などをきっかけに、日本美術(浮世絵、琳派、工芸品など)が注目され、西洋の作家たちに大きな影響を与えていました。ゴッホは、ジャポニスムの影響を受け、浮世絵や美術作品や日本を紹介した書籍をみながら、日本のイメージを醸成していったのでしょう。ゴッホの絵を観ながら、当時のゴッホの思いを想像するとわくわくします。日本人はゴッホの作品が大好き、これは相思相愛といってもいいですね。
 病跡学という、歴史的に傑出した人物の生涯を精神医学及び心理学的観点から研究分析し、その活動における疾病の意義を明らかにしようとする学問があります。ゴッホは、作品の強烈なイメージと共に、耳きり事件としてよく知られている生前の奇行、そして37歳の若さでピストル自殺したこともあり、病跡学の格好の対象になっています。ゴッホは、統合失調症、双極性感情障害とかてんかんであったとか、アスペルガー障害であったとも言われています。
 ゴッホには、献身的な支援をしてくれた弟テオがいました。テオは、兄フィンセントの拳銃自殺の2ヵ月後、精神錯乱に陥り、兄の自殺からわずか半年で兄の後を追うように亡くなります。2人は、深い絆で結ばれていたのでしょう。炎の人、ゴッホが亡くなって、弟も燃え尽きたのかもしれません。
  (平成29年9月18日:中島公博)
 
ラジオ体操と運動
 年齢とともに体力も落ち、昔はゴルフなんてあんな年寄りの遊び事と思っていたのですが、今ではたまにプレイすると息も絶え絶えになります。でも、今年の病院のゴルフ大会では奇跡的に優勝してしまいました。少年N君は、小学生の頃から足も速く、小学・中学と大学の体育祭でもリレーの選手でした。大人になってからも娘達の幼稚園、小学校のPTAのリレーでも選手を務めてきました。中学校の時、校内マラソンで、コース中盤の心臓破りの坂で苦しくて苦しくてもう休もうかと思っていたときに誰かが「頑張って」と言ってくれたことが背中を後押ししてくれ、その後快調なペースで走り続け、見事校内2位になったことがありました。応援ってすごく大事なことなんですね。これは、生活をしていく上でも、精神科の病気を良くしていく上でも、同じことが言えます。
 10年くらい前までは朝5時の起きて、30-40分くらい自宅近くの遊歩道をジョギングしていたのですが、さすがに今の身体では無理なので、その後は朝6時30分のラジオ体操を毎日欠かさず行っています。ラジオ体操と言えば夏休みを思い出しますね。カードにスタンプを押してもらい、夏休み最後のラジオ体操の後に鉛筆とかノートとかもらえるのが嬉しかったのがありました。今は、スタンプは押していませんが、健康な身体作りの後押しとして毎日続けています。
 ただし、ラジオ体操は録音してやったらダメです。朝の6時半が大事なのです。
 運動は頭の働きや精神状態の安定化にも繋がります。何もしないって本当に良くないです。
  (平成29年9月2日:中島公博)
 
精神保健福祉法一部改正と国会審議
 精神科では、精神保健福祉法という法律があり、入院の際にはその法律の則って手続きをする必要があります。内科外科ではそのようなものはありません。病院は医療法、医師は医師法、看護師は保健師助産師看護師法、薬剤師は薬剤師法の法律に規制されています。
 平成26年4月から現在の精神保健福祉法が施行されました。施行後の実態調査については、厚労省の補助金事業で日本精神科病院協会が委託され、私は担当者として関わり、「改正精神保健福祉法実務マニュアル」が発刊されています。この改正精神保健福祉法の大きな目玉は、保護者制度の廃止と医療保護入院の手続き変更でした。3年後の見直し規定があり、実態調査を踏まえて、医療保護入院の市町村長同意の緩和など、現場の負担がないような制度改正を要望していました。
 修正作業の中で起こったのが、平成28年7月26日の相模原の障害者施設殺傷事件です。事件を契機に措置入院の退院後の支援について、もっとしっかりやらないといけないんじゃないかという話になりました。改正精神保健福祉法の一部改正は、平成29年5月には参議院で附帯決議の伴いながらも可決されました。そして、6月には衆議院で成立するはず?だったのです。成立すれば、平成30年4月から施行になっていました。しかし、国会審議では重要法案や森友学園問題、加計学園問題などの審議に時間がとられ、精神保健福祉法一部改正法案は継続審議になってしまいました。厚労省の補助金事業では「措置入院のガイドライン」も法案に合わせて作る手はずでしたが、それも遅延しています。
 国会というのは、三権分立の中で国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関です。国会議員の皆さんへ、法律が決まるのを待っている人々がいるのを忘れないで欲しいものです。
  (平成29年7月26日:中島公博)
 
夏の思い出
 夏になると、「千と千尋の神隠し」の名曲、「あの夏へ ~One Summer's Day~」が頭によぎります。これから、海の日や山の日の、夏真っ盛りよりは、夏が終わって、2学期が始まるというイメージでしょうか。今回は、少年N君の夏休みのほろ苦い思い出を披露します。  
 小学生の夏休み。住んでいる町の地区別の野球大会がありました。1チームには小学生が3人くらいがメンバーに入り、中学生と小学生の混成チームで対抗試合を行うものです。野球の練習のため、自転車で近くの(といっても4kmくらい離れた地域の小学校)グランドに毎日行っていました。ある日、母(今でも健在で農作業に従事)がおにぎりを作って持たせてくれました。今時のきれいな海苔のついたものではなく、自宅庭に植えていた紫蘇の葉をまいたものです。せっかくのおにぎりが先輩の中学生に食べられてしまったのです。N君は、それが悔しいのと紫蘇の葉で作られたおにぎりなんて恥ずかしいとの気持ちが動揺して泣きながら自転車で家路についたことがありました。
 振り返って考えると、今では紫蘇の葉で作られたおにぎりは贅沢レシピにも載っています。あの時は、そんな考えもなく、街で売っている定番の海苔のおにぎりが良かったのでしょうが、この年になると紫蘇の葉のおにぎりを食べたい気持ちです。時間とともに、見方考え方が変わります。これは、精神科で盛んに用いられてる認知行動療法にもつながるのではないかと思っています。  
 還暦になると、昔のことを思い出します。もう一度、小学生からやり直したいですね。
  (平成29年7月14日:中島公博)
 
レンガ積み
 病院の中庭に小さなハーブ園が出来ました。私も、花壇のレンガ積みに参加し楽しく行いました。最上段には、職員がそれぞれの思いを徴したレンガが積んであります。レンガは無料で分けてもらった江別産です。実は、10数年前、自宅庭にイギリス産の高級?レンガで高さ50cm、横幅10mにもなる塀を造ったことがあります。レンガの積み方には、レンガを長手だけの段、小口だけの段と一段おきに積むイギリス積み、一段に煉瓦の長手と小口を交互にするフランス積みがあり、私が積んだのはフランス積みでした。これはレンガを半分に切る必要がありその分手間がかかります。基礎も掘り、モルタルをこね、水平器も使ってレンガを積みました。ドイツ積みやオランダ積みもあるんです。
 イソップ童話の「3人のレンガ職人」の話を知っていますか。内容が「目的と目標」を考える上で参考になり、度々「訓話」として出てくるものです。炎天下にレンガを積んでいる3人のレンガ積みの側を、旅人が通りかかります。旅人は、それぞれ3人に「あなたは何をしているのですか?」と声をかけます。旅人の問いに対する答えは三者三様です。1番目のレンガ職人は、「レンガ積みに決まっているだろ」と答えます。2番目は、「大変だけど、この仕事のおかげで俺は家族を養っていけるんだ」と言います。そして、3番目のレンガ職人はこう答えます。「歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだ。素晴らしいだろう」と。
 1番目は特に目的もなく仕方なくといった感じで、2番目は生活費を稼ぐだけのようです。3番目の職人は、後世に残る事業に加わり、世の中に貢献するというはっきりとした目的を持っています。
 小さな花壇のレンガ積みでしたが、私たちがレンガ積みを行っている時には、ハーブ園が出来あがり、ハーブの香りが漂って、患者さん達に少しでも癒やしを与えられたらという思いでした。ハーブ園を見たときに、少しでもハーブ園造りをした私たちの思いを感じて下されば幸いです。
  (平成29年6月17日:中島公博)
 
精神科の病名
 日々外来診療で患者さんとお話しをしていると色々と気づかされることがあります。他の精神科医療機関からの紹介された患者さんのお話しです。病名は何て言われていましたかと尋ねると、病名を聞いていませんと答える方も結構います。本当に主治医が病名を伝えていないのか、あるいは病名を言われていても患者さんが覚えていないのかは定かではありません。
 ほとんどの医療機関は保険診療で診察をしていますので、病名をレセプトに記載しないといけません。初診時でいきなり病名が決まらないこともありますので、そういう場合には状態像診断で病名をつけることもあります。例えば、抑うつ気分が強い症状であれば「抑うつ状態」、不安感やさらには抑うつ症状があれば「不安状態」「不安抑うつ状態」といった感じです。幻聴とか妄想があれば「幻覚妄想状態」です。典型的な症状が持続すれば、後にうつ病や統合失調症の病名がつきます。
 精神科では、患者さんがどんな症状で悩んでいるのかを聞き出し、まずは辛い症状を軽減するための方策を探ります。はっきりとした診断名は後からついてきても良いのです。精神科で診てもらっている場合には状態像診断でも良いので、自分の病名について主治医に教えてもらうのも大事です。
(平成29年5月15日:中島公博)
 
新人スタッフを宜しくお願いします。
 平成29年4月3日、五稜会病院の入社式が行われました。理事長としての挨拶の要約です。
 五稜会病院職員を代表してご挨拶申し上げます。新しく五稜会病院に入職されました皆さん、本日はおめでとうございます。五稜会病院での新しい生活が始まります。
 皆さんの仕事は、まずは、病院に慣れることです。 わからないことがあれば優しい先輩に聞いて下さい。五稜会病院は、多職種連携を深めています。精神科医療というのは、多職種で情報を共有化して、患者さんにとって最良の医療を提供することです。それを実践していって下さい。
 来年の平成30年には、医療計画策定、診療報酬改定など精神科医療福祉の大幅な改正があります。当院は民間の精神科病院です。それぞれの職務も大事にしながら、診療報酬や精神科医療全体の枠組みのなかで、五稜会病院の仕事があるのだということを気にとめていただきたいと思います。
 精神科病院は病んでいる人相手の仕事です。人に優しい、安心、安定した病院創りを皆さんと一緒に創っていきたいと思います。皆さんのご活躍と五稜会病院の発展を祈って挨拶と致します。
(平成29年4月3日:中島公博) 
 
うつ病の人に「頑張れ」は禁句か。
 新しい年が始まって、あっという間に2ヶ月も過ぎました。新年度の抱負は進んでいるでしょうか。新しい人間関係、学校生活、職場などに入ると何かとストレスになります。最初は頑張れても段々と疲れが出てくることもあります。気分がすぐれない、意欲がない、興味がわかない、不眠が続いている、食欲がないなど、これらの症状が1日中ずっと、2週間続けば、精神科の診断基準ではうつ病と診断されます。昨今、うつ病の患者さんが増えた1つの理由には、診断基準に照らし合わせるとそれに該当する患者さんがたくさんいるということからかもしれません。
 うつ病を患っている人への対応に悩んでいる方も多くいらっしゃると思います。うつ病に「頑張れ」って言うなとよくいわれます。でも、本当でしょうか。「頑張れ、ニッポン。」リオデジャネイロのオリンピックでは選手が頑張ってたくさんのメダルをとりました。東日本大震災では、海外からも「頑張れ日本!」の声があがりました。多少は頑張らないと結果はついてきませんし、病状も自分の生活もよくなりません。
 うつ病ではエネルギーが低下しているので、普段通りに頑張ると弊害が大きくなります。病状に合わせて、その力の範囲内で行動することです。うつ状態の人には、「無理しないで、自分の出来る範囲内で頑張ってね」と言うことです。
 頑張っている人が安心して過ごせる世の中になって欲しいですし、応援もしたいですね。
(平成29年2月25日:中島公博) 
 
平成29年、今年は酉年です。
 平成29年の新年は、初日の出は拝めませんでしたが、新たな1年が始まると思うと、外の冷気と同じくらい身が引きしまる思いが致しました。今年の五稜会病院には酉年の年男、年女が多数います。私も年男ですが、酉のように五稜会病院ともども飛躍していきたいと思います。
 病院を取り巻く環境は年々厳しいものがあります。常に最新の医療技術を提供しなければ、患者さんからそっぽを向かれ、閑古鳥がなくような事態にもなりかねません。酉年といっても、閑古鳥は来て欲しくないですね。医療施策からみると、平成30年には診療報酬改定、介護報酬改定、障害報酬改定、そして、医療計画、障害福祉計画、介護保険事業計画策定など重要な事項が目白押しです。平成29年はその諸々の計画段階の重要な年となるわけです。
 厚労省では、平成28年1月から、「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」がはじまっており、平成29年3月までには、改正精神保健福祉法の見直しが行われ、昨年発生した相模原事件を踏まえた措置入院制度の検討も行われています。
  こういった荒波のなかで、五稜会病院は常に治療内容の充実を図りながら、「良質かつ適切な医療」を展開し、「ひとに優しい精神科病院」創りをしていきたいと思っています。
 今年の一文字として、「穏」の字を挙げました。
厳しい環境のなか、平穏無事な1年を過ごしたいと思います。皆様のご健康を祈念しています。
(平成29年1月20日:中島公博)
 
平成28年も終わり~背中を押されて~
 平成28年、今年はどんなことがあったでしょうか。でも、以外とすぐには思い出せません。
 夏にはリオデジャネイロでオリンピックがありました。日本人の活躍が頼もしかったですね。体操、柔道、レスリング、バドミントン、水泳などたくさんメダルをとりました。陸上のリレーもすごかったです。アジア人がリレーでメダルを取るなんて想像もできなかったことです。
 スポーツと言えば、北海道日本ハムファイターズが日本一に輝きました。広島カープの「神ってる」が流行語大賞になりましたが、ゲーム差最大11.5もあったのを吹き飛ばしたのですから、日ハムも神ってました。北海道コンサドーレ札幌もJ2優勝、J1昇格となりました。私は大学の時はサッカー部でしたので、ひとしお嬉しく思います。昔は、Jリーグもなく、元旦の天皇杯サッカーの観客もまばらでしたので、Jリーグ優勝決定戦の観客の多さをみると隔世の感があります。サッカーはなかなか点が入らないので、試合中はとても苦しいのですが、私の経験でも点を入れた途端に気持ちが楽になって身体の動きも良くなることがありました。応援(ほとんど観客はいませんでした)があると背中を押されたような感じになります。
 我々の普段の生活や精神疾患に患っている場合も同じです。背中の一押しがあれば、勇気を出して前向きに進むことが出来ます。自分が病んでいる時には身近な人に背中を押してもらいましょう、そして自分が元気な時には、立ち止まっている人、困っている人の背中を押してあげて下さい。
(平成28年12月5日:中島公博)
 
ボブ・ディランさん、ノーベル文学賞おめでとうございます。
 今年のノーベル文学賞はボブ・ディランさんに決まりました。ボブ・ディラン(1941年生まれ)は、アメリカのミュージシャン。「風に吹かれて」「時代は変る」「ミスター・タンブリン・マン」他多数の楽曲により、1962年のレコードデビュー以来半世紀以上にわたり多大なる影響を人々に与えてきた。現在でも、「ネヴァー・エンディング・ツアー」と呼ばれる年間100公演ほどのライブ活動を中心にして活躍している、とのことです(Wikipedia)。
 授賞理由は「アメリカの輝かしい楽曲の伝統の中で新しい詩的表現を生み出してきたこと」とされ、「英語文化の伝統の中でも偉大な詩人です」とも言われています。でも、英語の詞なので私にはどれだけ偉大なのかはわかりかねます。ガロの「学生街の喫茶店」に歌詞の中にある「ボブ・ディラン」ってどんな歌手なのかと思っていただけです。
 「晴れたらいいね」というドリカムの吉田美和さんの歌があります。NHKのテレビ小説「ひらり」の主題歌でした。主人公演じたのは石田ひかりさん。石田ゆり子さんは、お姉さんですね。「雨が降れば川底に沈む橋越えて」、「こくわの実また採ってね」という歌詞、私の故郷をありありと思い出させるフレーズなのです。自宅近くに、通称”もぐり橋”という橋があり、川が増水すると橋が本当に川底に沈んでしまいます。小さい頃には、よく”こくわ”の実を採って食べました。今でも、苦しい時、辛い時に、この歌を思い浮かべます。すると、妙に元気になり、頑張ろうという気になります。歌詞が人のこころを元気づけているのです。私にとってのノーベル文学賞です。
     (平成28年11月5日:中島公博)
 
映画って、本当にいいですね。No.1
 映画「君の名は。」や「シン・ゴジラ」がヒットしています。「シン・ゴジラ」は、政府の危機対応の格好の教材になるとか。聴覚障害の少女のいじめを扱った「聲の形」も聴覚障害や障害者への対応について考えさせられる映画です。福山雅治主演の「SCOOP」も純粋に面白いかも。
 映画は、監督、原作者の作り物でも、その中には現実にありそうな人間関係とか事件の対応とかで、登場人物の心理描写が実にうまく映像化されています。映画監督は、相当に人間の感情の機微に長けた人だと思います。
 精神疾患を扱った映画が多くあります。統合失調症では、ノーベル経済学賞受賞のジョン・ナッシュの半生を描いたアメリカ映画「ビューティフル・マインド」、アカデミー賞もとっています。作中には電気痙れん療法のシーンもありますが、専門家からみるとかなりオーバーです。現在は、麻酔下で行う修正型頭部通電療法を安全に行っています。マイナーですが「おかえり」という日本映画もあります。大恋愛の末に結婚した若い夫婦。夫が、ある日妻の不審な行動に気づきます。妻の精神科受診から入院までの実際がよくわかりますし、家族の戸惑いも実にうまく表現しています。アルコール依存症がテーマの「酒とバラの日々」、アルコールに溺れる夫婦の姿を通してアルコール依存症の恐ろしさをリアルに描いたものです。ジャニス・ジョプリンがモデルとなった「ローズ」、60年代のアメリカを舞台に酒と麻薬に溺れながらも歌いつづけた女性シンガーの愛と激情の人生の物語です。2つともテーマ曲がジャズのスタンダードナンバーとしても有名です。
 秋の夜長、何をしようかと思うとき、映画を観るのをお勧めします。映画は最高の娯楽です。
それでは、次回をお楽しみに、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。
     (平成28年10月9日:中島公博)
 
「相模原の障害者施設殺傷事件」について
 とんでもない事件が起こったものです。平成28年7月26日未明、神奈川県立津久井やまゆり園において、元職員が入所中の知的障害者を襲い、19人が死亡し20人を超える方々が負傷したという大変痛ましい事件です。早速、厚生労働省は、平成28年8月「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」を設置し、措置入院のあり方、解除の判断や解除後の支援体制、警察・関係団体との連携などを再検証しました。平成28年9月には、再発防止に向けて措置入院の運用などのとりまとめが行われました(中間とりまとめが公開されています)。
 今回の事件では報道の在り方にも問題があったと思います。警察は犠牲者の実名公表をしていません。犠牲者の人数と性別のみです。障害者への差別や偏見に苦しむ遺族の要望を受けての異例の判断だそうです。われわれは、新聞等の犠牲者の顔写真や氏名をみて、その人のこれまで歩んできた人生を思い浮かべ哀悼の意を表します。その人の人生がまるで無かったかのようで、障害者の対する差別そのもののような気がします。これでは、平成28年4月に施行になった障害者差別解消法の目的に合致していないのではないでしょうか。
 われわれ病院関係者にとっても、様々なことを考えさせられる事件です。犠牲者のご冥福と被害にあった方々、施設の職員の方にお見舞い申し上げます。事件が、医療観察法、措置入院制度の抜本的な見直しの契機になり、また、障害者差別解消法が実際の社会に根付くことを切に願います。
(平成28年9月15日:中島公博)
 日本精神科病院協会誌 [時評] 「相模原障害者施設殺傷事件から何を考えるべきか」  
 
「夏休みの思い出」
 「麦わら帽子はもう消えた、たんぼの蛙はもう消えた、それでも待ってる夏休み。姉さん先生もういない、きれいな先生もういない・・・畑のとんぼはどこ行った、あの時逃がしてあげたのに、ひとりで待ってる夏休み。・・・」  
 昭和46年の吉田拓郎の「夏休み」という歌です。当時私は中学3年生でした。友達数人と女の先生とで、今は廃線となった広尾線に乗って、2泊3日で海にキャンプに行ったのを思い出します。小さい時は、自宅そばの田んぼの用水路にフナやどじょうがたくさんいて遊んだことがありました。とんぼも空一杯にいたような気がしますが、本当にどこに行ったんでしょうか。
 平成13年7月日本公開の「千と千尋の神隠」。宮崎駿監督、スタジオジブリのアニメーション作品。日本歴代興行収入第1位の大ヒット作品なので皆さんもご存じかと思います。異世界に迷い込み、神々の訪れる湯屋で働くことになった少女、千尋の冒険と成長を描くファンタジー物語。久石譲のピアノの曲「あの夏へ」を聞くと、過ぎ去った夏を思い出します。長女が小学1年になった年で、秋の学習発表会に小学生の児童がハープで「いつも何度でも」を大変素晴らしく演奏をしていたのが印象的でした。この曲もジーンときますよね。
 さて、皆さんも色々な「夏の思い出」があることでしょう。今年の夏は、札幌でも30度を超えて蒸し暑い日が続いています。8月11日は初めての国民の祝日「山の日」。かつて、空沼岳、黒岳、樽前山、アポイ岳に登ったことがありますが、今は体力がないので、麓から山を拝む岳にしておきます。
(平成28年8月11日:中島公博) 
 
病院機能評価受審終わる
 平成28年5月25日、26日の1日半にわたり、病院機能評価の受審がありました。病院機能評価とは、病院が組織的に医療を提供するための基本的な活動が、適切に実施されているかどうかを評価する仕組みです。五稜会病院の初回受審は、平成16年になります。この時は、病院理念に始まって各種書類整備で大変な苦労をした覚えがあります。でも、そのお陰で「五稜会バイブル」というマニュアル等の書類整備が出来て、病院機能の近代化が図られました。2回目の受審は平成21年でした。翌年には、朝の全体ミーティング(医師、看護師長、各部門の約30名)での情報共有、電子カルテ導入がありました。そして、今回の3回目の受審です。
 サーベイヤー(評価調査者)が中立・公平な立場で所定の評価項目に沿って病院の活動状況を評価しますが、サーベイヤーからたくさんのお褒めの言葉を頂戴しました。まず、病院にきて、スタッフが生き生きしていること、病棟では各種疾患教育の内容が充実していること、病院の取り組みをホームページなどで積極的に広報、情報発信していることなどです。
 至らぬ点もまだまだあります。明らかになった課題に対しては、今後改善に取り組んでいき、医療の質向上を図っていきます。機能評価準備に携わったスタッフ、日頃から病院機能充実に関わっているスタッフ、そして当院を評価して下さっている患者さんや医療関係者に感謝申し上げます。
(平成28年5月29日:中島公博)
 
北海道の5月の連休
 大型連休です。世間ではゴールデンウィークとも言っています。でも、北海道の4月末~5月の連休はちょっと違います。連休中は雪も降ることあります。先日も北海道では積雪30cmを越えた場所もありました。かと思えば、30度になることもあります。私が小学生の頃、同級生数人と自転車で十勝の池田から帯広まで約25kmサイクリングに行ったことがありました。そのときは確か30度を越え、帯広のサニーデパート(今はありません)に行った覚えがあります。連休中、温かければ花見も出来ますが、たいていはぶるぶる震えて桜の木の下でジンギスカンを食べるのです。毎年連休には大学の同期仲間とゴルフをするのですが、ゴルフ場のきれいな絨毯のような緑のフェアウェイとピンク色の桜の花、そして遠くに見える手稲山の残雪がコントラストになっていてとてもきれいです。これでゴルフのスコアがよければもっと気持ちが良いのですが、最近は寄る年波には勝てていません。
 ひとつの提案。北海道は4月末~5月初めの連休はまだ寒いので6月初めにして欲しいものです。
(平成28年5月1日:中島公博)
 
平成28年4月、新年度開始
 平成28年4月1日、今年度も多数の有望な新人が五稜会病院の一員となりました。昨年と同様に新しい4階の研修室で入社式が行われました。理事長としての挨拶の内容をかいつまんで記します。
********************
 五稜会病院に入職されました皆さん、本日はおめでとうございます。 今日から五稜会病院での新しい1日が始まります。 今年度は4月1日から診療報酬改定があります。当院は民間の精神科病院です。それぞれの職務も大事ですが、診療報酬、点数についても多少気にする必要があります。  
 また、厚労省では平成28年1月から精神科医療のあり方検討会が始まっています。平成26年度の改正精神保健福祉法施行されましたが、今年が3年目の見直しの時期に当たります。医療保護入院の手続きの見直し、退院支援などが検討されることになります。日本全体の精神科医療全体の枠組みのなかで、五稜会病院の仕事があるのだということを気に留めていただきたいと思います。
 昨年は11月に二期工事が終了し、多目的ホールが完成しました。 これで、全ての工事が完了しています。 新しい病院、快適な環境の中で、次は新しい精神科医療の展開です。
 精神科病院は病んでいる人相手の仕事です。人に優しい、安心、安定した病院創りを皆さんと一緒に創っていきたいと思います。 皆さんの活躍とともに五稜会病院の発展を祈って挨拶と致します。
********************
 というような内容です。精神科に限らず、人との関係創りってとても大事なのですが、最近はコミュニケーションが苦手な方も増えているようです。対人関係でのストレスが大きいと種々の精神症状を呈することにもなります。無理なく、程々に、自分の出来る範囲のなかで頑張っていきましょう。そして、周りの人は優しい配慮、気遣いをお忘れなく。
 これが、五稜会病院の「ひとに優しい医療、安心、安定した病院」創りの元です。
(平成28年4月1日:中島公博)
 
平成28年、新年を迎えて
 平成28年1月、穏やかな新年を迎えました。例年、大晦日は病院の当直なので、元旦の初日の出は病院で見ているのですが、今年はあいにくの天気で日の出は見ることは出来ませんでした。今年は申年、その次は酉・・・ねうしとらうたつみ・・。かつて私の母校の北大の入学試験で干支の順番を答えさせる問題が出たことがありました。ついでに、にしむくさむらい(246911)って何のことだか知っていますか。今年はリオデジャネイロでのオリンピックイヤー、2月は29日あるのです。3月26日には北海道新幹線が新函館北斗まで開通します。札幌まではまだまだ先で恩恵も少ないですが、いずれ延伸されます。
 今年の五稜会病院は如何に。多目的ホールの完成で二期工事が終わり、平成25年から始まった工事も一段落。きれいになった建物の中で、あとは充実した精神科医療の展開を進めて行きます。まずは、こころと身体の健康のために、多目的ホールで運動を一杯していきたいと思います。昔とった杵柄、フットサルにも参加する予定です。
 新年にあたり、徒然になるままに記載しました。(平成28年1月1日:中島公博)
 
平成27年を振り返って
 平成27年の1年間ももうすぐ終わり。年をとるに従って1年が過ぎるのが本当に早く感じられます。地球の公転(太陽の周りを廻っている)の速度が速くなっているのでしょうか。小学校の6年間は随分と長いような感じでしたし、医学部の6年間(30年以上前になります)も長いような気がしましたが、今では5-6年と言わず10年もあっという間に過ぎ去ってしまいます。
 平成27年はどんな年だったでしょうか。例年、五稜会病院の忘年会で「1年を振り返って」とのお題目で職員の前で話しをしています。今年取りあげたのは、ノーベル賞受賞(大村智先生の生理学・医学賞、梶田隆章先生の物理学賞)、五郎丸ポーズ(ラグビーワールドカップ2015での日本代表の活躍)、マイナンバー通知でしょうか。私個人としては、6月に前庭神経炎という病に罹ってしまい、ひどい吐気と回転性のめまいに苦しみました。めまいがこんなに辛いものとは思いませんでした。1週間自宅で静養しましたが、身体全体がずっしりと重くいてもたってもいられないような状態でした。その時は、改めて健康の大事さを実感した次第です。自分の体調、精神状態が保たれてこそ、自分のやりたいことができます。年の瀬、皆様も御自愛下さい。(平成27年12月23日:中島公博)
 
「傾聴」について
 以前、このブログに書いたDr.倫太郎役の堺雅人さんのコメント。良い精神科医って、「人の話を寄り添って聞く人なんだろうなぁ」。精神科に限らず、人の話を聞くことが大事なのは論を俟ちません。これを「傾聴」といいます。精神療法の基本は、支持・受容、保証、そして「傾聴」です。悩んでいる方に対して、寄り添って大丈夫と言ってあげる、辛さ、訴えを先入観なくじっと聞いて上げるということです。医師になって30年、精神科医療に携わって20年余り、きちんと「傾聴」してるかどうか、こころもとありません。時に患者さんから、「人の話を聞きなさい」と、おしかりの言葉を受けることもあり、まだまだ修行が足りないことを自覚したりしています。
 さて、「家族という病」(下重暁子)という新書を読みました。最近、家族関係の悩みで受診する方も多いですが、家族間の力関係でがんじ絡めになってしまって、そこから抜け出すことが出来なくなっていることもあります。傾聴ばかりではなく、自分の意思を主張することも必要な時もあります。要は、バランスが大事だということですね
 傾聴についての拙文が日精協雑誌「時評」に掲載されています。どうぞお読み下さい。
(平成27年11月8日:中島公博)
 
精神科治療の基本は「規則正しい生活」です。
 平成27年夏、暑いです。東京など内地に比べれば北海道は涼しいからもしれませんが、8月5日には、北海道十勝の池田町(私の生まれ故郷)でも観測史上最高となった37.1℃を記録しています。夏休みはどうしても不規則な生活になりがちです。昔、中学の頃に夏休み前の全校集会で夏休みの課題と称して、「夏休み中はだらだらしないで規則正しい生活をこころがけましょう」とみんなの前で述べたことがありました。
 平成25年度の小学中学の不登校生は、12万とされています。五稜会病院にも不登校を主訴とした中学生・高校生の来院も目立ちます。最近は、夜中のスマホいじりやゲームに興じることで睡眠覚醒リズムがおかしくなっている方も多いようです。内科疾患と同様、精神疾患でも寝不足は色々な症状に関係してきます。呆として思考力が低下してしまう、気分が優れないなどや動悸、発汗、便秘、下痢等の自律神経症状の出現など・・・。
 当院のストレスケア・思春期病棟には不安抑うつ状態や摂食障害の患者さんが入院しますが、規則正しい生活を送ることを目的としている方も多くいます。精神科治療の基本は、抗うつ剤などの薬物療法や認知行動療法ではありません。治療の一歩は、「規則正しい生活」です。これなくして、抗うつ薬や抗精神病薬、安定剤の効果は得られません。メンタルの安定化だけではなく、夏ばて対策にも、早めの就寝と朝6時30分のラジオ体操がお勧めです。(平成27年8月8日:中島公博)
 
「Dr.倫太郎」
 平成27年春の新ドラマ。人々の心に寄り添い、その人間力で心の病を解きほぐしていくというスーパー精神科医のお話です。その名は日野倫太郎。主演は、ドラマ「半澤直樹」、「リーガルハイ」の堺雅人。シリアスな感じや喋りすぎはありません。良い精神科医って、「人の話を寄り添って聞く人なんだろうなぁ」との堺雅人さんのコメントです。
 実際の臨床現場では、芸者さん(蒼井優さん)やカウンセリングを受ける政治家は出てきませんが、東京ではあり得るのでしょうか。五稜会病院でも、ドラマのように殆どの患者さんが人間関係の問題にうまく対応出来なくて、種々の症状を呈して受診されています。気分が優れない、不安だ、眠れないなどの症状やアルコールの問題、拒食や過食など・・・。症状自体を治すといっても、その根底に潜む患者さんをとりまく人間関係、学校・職場との関係性を解決、あるいは折り合いをつけなければ症状の改善は出来ません。
 薬物療法の話しは出てきません。統合失調症や双極性感情障害などは、薬物療法は必須で治療の主体となりますが、対人関係から派生する種々の症状は、倫太郎のように患者さんをとりまく要因を探らないといけないのです。
 倫太郎もストレスを抱え、先輩の精神科医(遠藤憲一さん)に愚痴を言っている(精神科ではスーパーバイズというのでしょう)のですが、精神科医も人の子、見習いたいと思います。
(平成27年5月2日:中島公博)
 
平成27年4月、新年度開始
 平成27年4月1日、いつものように新棟4階で朝の全体ミーティング開始。突如、事務長からの発言。「理事長、勤続20周年、おめでとうございます」。大きな花束と、たくさんのスタッフからのメッセージを戴きました。ここまで来られたのもひとえにスタッフ全員の、そして患者さんからも力を戴いたお蔭かと思い、改めて感謝しました。でも今日は、4月1日エプリルフール?(笑)
 さて、平成27年度も有望新人が多数入社しました。以下、4月1日の入社式の挨拶です。
五稜会病院職員、先輩を代表してご挨拶申し上げます。
新しく五稜会病院に入職されました皆さん、本日はおめでとうございます。
五稜会病院での新しい1日が始まります。私も勤続20周年、新たに始まるということで皆さんと一緒に新人のつもりで行きたいと思います。
 昨年度は診療報酬改定、改正精神保健福祉法施行、消費税増税などがありました。また、5月には新しい外来・病棟が出来ました。この場所で入社式をするのは、初めてになります。新しい場所で迎えることができて大変嬉しく思います。今年はいよいよ二期工事が始まります。11月までには完成の運びになります。
 昨年以来、病院のブランド化をはかるためにブランディングプロジェクトを立ち上げています。
スローガンは、「Share Change Innovation」
  Share:情報の共有化、わからないことがあればきいて下さい。
  Change:五稜会病院は変化し続けています。
  Innovation:創造です。何か新しいものを創っていきましょう。
 現在(4月1日13時15分)、東海大四高が甲子園選抜の決勝で戦っています。新人のみなさんも甲子園球児と同じように快進撃を続けて頂きたいと思います。(残念ながら、決勝戦は3-1で敗退しましたが堂々の準優勝)皆さんの活躍と五稜会病院の発展を祈って挨拶と致します。
(平成27年4月1日:中島公博)
 
平成27年、新年のご挨拶
 新年、あけましておめでとうございます。初日の出は、新しくなった病院の4階ミーティングルームから眺めました。外は氷点下9度、寒さは一段と強まっています。
 1年の計は元旦にあり。今年1年間の計画をたて、1月には病院スタッフとともに新年交礼会を行い、その中で今年の所信表明、「平成27年の五稜会病院~これからの精神科病院~」を行います。
 さて、平成27年の五稜会病院はどのような年になるのでしょうか。昨今の精神科医療の変化はめまぐるしいものがあります。10数年前とは着実に進歩も遂げています。このような状況の中で、私たち五稜会病院の全てのスタッフは、患者さんにとって良い医療を提供しようと心掛けています。患者さん、その人にあった生活、目標が遂げられるように治療や援助をしていきたいと思います。また、患者さんのみならず職員スタッフのやりがい、満足度も上げられるような1年になってくれれば、有難いことと思います。
 今年は羊年。羊の穏やかさにあやかって、安寧な年になることを祈念しています。
(平成27年1月1日:中島公博)
 
ブランディング プロジェクト
 ブランディング(Branding)とは、「顧客の視点から発想し、ブランドに対する共感や信頼など顧客にとっての価値を高めていく企業と組織のマーケティング戦略のひとつ。ブランドとして認知されていないものをブランドへと育て上げる、あるいはブランド構成要素を強化し活性・維持管理していくこと。またその手法(Wikipedia)」です。
 五稜会病院は、昨今の精神科医療を取り巻く大きなうねりの中で変わって行きます。平成26年4月、改正精神保健福祉法施行による保護者制度廃止、医療保護入院制度の見直し、退院促進など、精神科医療はこれまでに類をみない変革がなされています。精神科医療はこころを病んだ人が治療対象です。患者さんはそれぞれ病状も違います。個々の病前の生活状況を見据え、如何に早期に社会復帰が出来るように援助するかが治療の大きな目標となります。そのためには、治療スタッフが、患者さんやご家族のこころの痛み、ニーズを感じとることが必要です。平成26年5月には新しい外来・病棟の運用が開始されました。病院も選ばれる時代。さらに、精神科医療を創造出来るような人を「創」っていくこと、人を育てることが、病院の医療内容の向上につながり、病院のブランドが確立していく一歩だと信じています。(平成26年6月28日:中島公博)
 
新外来・病棟完成!!
 平成26年5月21日に新しい病棟、5月26日には新しい外来での運用が開始されました。平成24年度に新棟設計が開始され、平成25年5月17日には好天の中での地鎮祭、建築施行、そして、平成26年5月の新外来・病棟の完成に至りました。コンセプトは外来患者さんの増加に対応した外来機能充実とスーパー救急算定に向けた病棟機能の改善です。手狭で混雑していた外来や病床が少なく入院しても直ぐに転棟を考慮しなければならなかった急性期病棟の病床管理・運営が大幅に改善されます。患者さんにとって、精神科受診への抵抗感がなくなり、落ち着いた環境の中で治療に専念出来るものと思っております。
 精神科医療はスタッフ間の情報共有、コミュニケーションが重要です。4階には全体ミーティング開催や図書室を兼ねた多目的スペースを用意し、新しい医局、心理室とともに五稜会病院の未来を語ってくれる居場所になります。次には二期工事が始まります。新たな治療環境・職場環境の中で、さらなる診療内容の向上に努めていく所存です。どうぞ、新しい外来・病棟を宜しくお願い申し上げます。
(平成26年5月26日:中島公博)
 
平成26年4月1日 新年度開始
 平成26年度になりました。五稜会病院には中堅の精神科医2人を含め多数の新人が入社しました。
以下、五稜会病院の職員を代表しての新人向けの挨拶です。
病院は人創りが大切です。その想いを込めました。
***********************************
 新しく五稜会病院に入職されました皆さん、本日はおめでとうございます。
今日は4月1日、五稜会病院が新しく変わる日になります。
1つ目は、今日から消費税が上がります。5%から8%、3%もあがります。
 売店のジュースは110円から120円になります。
2つ目は、診療報酬の改定があります。様々な縛りが出てきます。
 特に療養病棟です。退院支援委員会などの開催が義務づけられています。
3つ目は、改正精神保健福祉法が本日から施行されます。
 明治以来の保護者制度がなくなります。そして、医療保護入院の制度が変わります。
4つ目は、本年5月に新しい外来棟、病棟が完成し、いよいよ引越です。
今年は変革の年になりそうです。
精神科病院も生き残りをかけての戦いとなっています。
新しい病院を創り、人を創って、地域の精神医療充実を図りたいと思っております。
10年後、私たちが五稜会病院に入ったのは、色々と変わった年だったなとこの場で振り返るようになってもらいたいと思います。
皆さんの活躍と五稜会病院の発展を祈って挨拶とします。
”Share Change Inovation” 皆さんと一緒に頑張って行きましょう。
(平成26年4月1日:中島公博)
 
新年の挨拶
 新年明けましてお目出とうございます。今年は午年。どんな年になるのでしょうか。午(ご)とは、十二支の7番目、中間に位置し、草木の成長期が終わり、成熟しつつある状態を表しているのだとか。十二進法では、前半(午前)が終わり後半(午後)が始まる位置にあり、その交差点を「正午」というらしいです。はじめて知りました。
 さて、五稜会病院では、平成26年5月には新しい外来と病棟が完成します。今まで、外来ロビーは混雑して、決してアメニティが良いとは言えませんでしたが、今後は患者さんにとって過ごしやすい雰囲気にしていきたいと存じます。新しい病棟は、現在の急性期病棟と療養病棟が引越となります。急性期病棟は38床から48床になりますので、急性期の患者さんの受入れもよりスムースになり、落ち着いた環境の中で入院生活を送ることが出来るようになるものと思います。病棟の完成とともに、ソフト面の充実も図っていきます。医療スタッフを増員し、さらに診療内容を充実させ、患者さんのニーズに合わせた治療プログラムの開発を試みていきます。
 新年が皆さんにとって、より良い年になるように、安寧した生活が送れることを願って、新年の挨拶としたいと存じます。(平成26年1月2日:中島公博)
 
新ホームページ

 新しいホームページが開設されました。旧バージョンは私自身が平成11年に開設したものです。コツコツとページを作成し、試行錯誤の上でアップロードしたのを覚えています。今度のホームページは五稜会病院職員が委員会を立ち上げ、アイデアを出して作り上げたものです。魅力のある病院の情報発信にしていきたいと思います。どうぞご贔屓にして下さい。

 精神科医療を取り巻く環境は激変しています。本ブログでは、最新の精神科医療情勢や常日頃の思いについて、気ままに記載していきます。(平成25年12月16日:中島公博)

 

精神科医療の新しい話題

精神科医療の新しい話題
 
精神保健福祉法改正後の医療保護入院の実態に関する全国調査
 平成26年4月から改正精神保健福祉法が施行されました。明治以来の保護者制度がなくなり、医療保護入院は、精神保健指定医の判断と家族等の同意での入院になりました。施行前から様々な問題点が指摘されていましたが、平成26年度厚生労働科学研究補助金(障害者総合福祉推進事業)「精神保健福祉法改正後の医療保護入院の実態に関する全国調査」が日精協で実施され、平成27年4月に報告書が公表されています。私は、調査メンバーでしたので、その内容について簡単にご紹介します。
 約1,400の病院のアンケート調査の結果(回答率約50%)、改正法施行後の平成26年4月1日~9月30日まで半年間の入院者は、総入院者数は前年度と同様で任意入院が半数でした。医療保護入院の手続関係では、市町村長同意が前年度比で54.6%と半数になっており、応急入院が86.8%と少なくなっています。385件の事例が報告され、227件の今後の見直し意見が寄せられています。このなかでは、医療保護入院の同意に関する運用関係と市町村長同意に関するものが多数を占めています。施行3年後の見直しに向け、医療保護入院の手続に関し、柔軟な対応を行うことを提言しています。特に市町村長同意の要件見直しは喫緊の課題です。医療機関は、患者と実質的に関わりのある家族等の確認・把握のみで良いこととし、公務員に準ずる資格を有する精神保健指定医の医療判断を尊重し、同意者の獲得が困難な場合(同意する家族等がいない、家族等が認知症、外国に在住など)には、市町村長同意を認めるべきである、としています。
 報告書に加えて、「改正精神保健福祉法施行(平成26年4月)に関する業務のためのガイドライン」が作成されており、日精協のホームページで公開されています。
(平成27年4月25日:中島公博)
 
公認心理士法案
 平成26年11月21日に衆議院が解散され、投開票は12月14日になりました。この師走の忙しい時に、「何故?」と思った方も多いかと存じます。平成27年10月から予定されていた消費税10%が先送りされたことは有り難いと思いました。この選挙は、安倍首相が就任から2年間進めてきた経済政策「アベノミクス」の評価が大きな争点とのことです。有権者としては、是非を問いたいところです。
 さて、この解散総選挙は精神科医療の施策でも大きな問題を生じさせました。あまり報道はされていませんが、先の国会で審議されていた「公認心理師法案」が廃案になってしまったのです。昨今のストレス社会の中で、精神科医療機関への受診者は増加の一途であり、学校現場や職場での心理的ケアの必要性は言うまでもありません。当院でも常勤・非常勤を含め多数の心理士の先生が活躍しています。精神疾患が5疾病に組み込まれたなかで、心理職の国家資格化については、精神科医療の重要事項であり最も喫緊の課題であるのです。この法案は、関係各位、関係機関、関係団体が長年にわたって論議を重ね、合意形成に向けた努力が実を結んだことで国会上程となりました。国会審議が順調に進んでいれば、もう少しで法案が可決されていたとも言われています。心理士法案が廃案になったため、次の国会では改めて審議することになります。次期国会においては、法案が無修正で再上程され、早期に成立することを強く期待します。(平成26年12月7日:中島公博)
 
精神障害者と自動車運転(第3回日本精神科医学会学術大会)

 平成26年10月9日、10日の2日間、愛知県名古屋市で開催された第3回日本精神科医学会学術大会(大会長:舟橋利彦愛知県精神科病院協会会長)のシンポジウムで「精神障害者と自動車運転」の話題が取りあげられました。テーマは「精神障害者の自動車運転に係る諸問題」~医療や行政、産業界はいかに生活を守っていくか~です。

 平成26年5月に自動車運転死傷行為処罰法が、そして、6月には改定道路交通法が施行されました。このシンポジウムは、改正道路交通法や医薬品添付文書の記載内容から、精神障害者が通院をはじめとする日常生活に欠くことのできない自動車運転に、深刻な制限が加わるという危機意識に基づいて企画されました。シンポジストの先生方からは、保健医療福祉、行政、法律、産業界のそれぞれの立場で、自動車運転が必要な精神障害者に何ができるか、何が必要かについての所見が述ベられました。さらに、障害者と自動車運転について詳しい研究を行っている名古屋大学の教授と法律家からも、問題点についての言及がありました。国民誰もが求める安全運転と、どのように共存が可能かを考えさせられた内容でした。

 このシンポジウムの中で、大手自動車メーカーの研究者が、自動車における認知負荷軽減に向けた研究の発表をされていました。丁度新聞には全車種で自動ブレーキなどの衝突回避システムを導入するとの記事が出ていました。安全に運転するためのテクノロジーの進歩、応用が期待されるところです。(平成26年10月13日:中島公博)

 
精神障害者と自動車運転

 平成26年6月1日、改定道路交通法が施行されました。一定の病気(統合失調症、低血糖症、躁鬱病、再発性失神、重度の睡眠障害、意識や運動の障害を伴うてんかんの6種)を原因とする事故を防ぐため、安全な運転に支障をおよぼす恐れがある病気にかかっている人等の的確な把握と負担軽減を図るためとしています。これに先立ち、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転死傷行為処罰法)が、本年5月20日から施行されています。本法第三条には危険運転致死傷として、アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態、または正常な運転に支障が生じる恐れがある状態で自動車を走行する行為により人を死傷させた場合が規定されています。
 例えば安定剤のホリゾンの場合、医療用医薬品の添付文書情報には、重要な基本的注意として、「眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること」の記載があります。抗アレルギー薬のジルテックや総合感冒薬PL配合顆粒も同じです。

 本年5月、米Googleは開発中の自動運転車の試作車を披露しました。ダッシュボード部分にステアリングホイール、ブレーキ/アクセルペダルはなく、ボタンで発車/停車します。また、トヨタ自動車や米ゼネラル・モーターズなど日米の自動車大手は、自動運転車の実用実験に使う施設を今秋にも共同で建設し、7年後の実用化に向け安全性を検証するそうです。車がないと、どうにも生活が成り立たない地域もあります。地域を活性化させるためにも、運転に支障を来さない状況であれば気兼ねなく運転が出来るような社会になって欲しいものです。近未来は病気や薬のことも考える必要もなく自動運転車が走ることになるのかもしれません。それまでは、疾患のみならず、服薬していての運転を曖昧なものにせずに何らかの基準や制度を設けるべきです。(平成26年7月12日:中島公博)
 
改正精神保健福祉法 1

 平成25年6月13日、衆議院で可決された精神保健福祉法改正案が、平成26年4月1日に施行(一部は28年4月1日施行)されます。法案では、保護者制度の廃止、医療保護入院の見直し、精神医療審査会の見直しがなされます。保護者制度の開始は100年以上も前の1900(明治33)年まで遡ります。精神障害者の権利擁護のために法改正が繰り返されてきましたが、保護者制度はほとんど見直されず、家族、特に高齢となった親には重い負担を強いてきました。法改正の背景にあるのは、これまで「家族が支える」のが当然とされてきた精神障害者を「地域全体で支える」仕組みへの転換です。保護者制度廃止と併せ、精神科病院の管理者には、医療保護入院者の退院に向けた支援や地域の支援者との連携を義務付けました。

 また、保護者制度を廃止したことに伴い、医療保護入院の要件を精神保健指定医1名の判定と保護者の同意から、精神保健指定医1名の判定と「家族等」の同意に改めることになりました。「家族等」の順位が決まっていないことや受診時に付き添った方と患者さんとの家族関係をどう証明するのかといった「家族等」の同意に関する運用の在り方については様々な議論があります。改正精神保健福祉法が患者さん及び「家族等」にとって利益になるように、病院の手続きに支障を来さないように情報収集をしたいと思います。(平成25年12月16日:中島公博)

 
改正精神保健福祉法 2

 改正精神保健福祉法では、厚生労働大臣が「病床の機能分化と精神科医療の提供の指針」を定めることになっています。これによって、精神科病床の人員配置など、これまでにない変革がなされることが予想されます。精神科でも一般内科と同様の医療が中心となっていくようになるのかもしれません。精神科では「精神科特例」というものがあり、入院患者さん48人につき医師1人の割合いの基準があります。内科外科の一般科では16対1ですので、3分の1で良いということなのですが、精神科は病床も多く、精神科医の絶対数が少ないので、なかなか一般科並にはいかないのが現状です。精神科の患者さんは身体疾患と違って医師が常時関わる度合いが少なく、どちらかというと、看護師、心理士、作業療法士などのコ・メディカルの人員を増やした方が良いこともあります。

 五稜会病院では、認知行動療法を取り入れ、臨床心理士のみならず、ストレスケア病棟の看護師が認知行動療法の治療技術を用いています。カウンセリングや心理療法、発達障害などの診断補助として心理士も多数在籍し、PSW、作業療法士などコ・メディカルは充実しています。治療のコーディネーターをするのは、あくまでも医師です。「精神科特例」の状態から抜け出すために、チーム医療を重視した五稜会病院に精神科医療を目指す先生(研修医・他科の先生方大歓迎)が来てくれることを願っています。(平成25年12月16日:中島公博)

<<医療法人社団五稜会病院>> 〒002-8029 北海道札幌市北区篠路9条6丁目2-3 TEL:011-771-5660 FAX:011-771-5687