病院機能評価受審結果について

  
  五稜会病院では、 平成22年3月5日付けで、(財)日本医療機能評価機構が実施している「病院機能評価」ver.6.0の認定を取得しました。既に、平成17年6月20日付けで(財)日本医療機能評価機構が実施している「病院機能評価」の認定を取得 しておりましたが、今回新たに更新の認定証を受領しました。
  病院機能評価とは、第三者機関である(財)日本医療機能評価機構が、国民の医療に対する信頼を揺るぎないものとし、その質の一層の向上を図ることを目的として実施しているもので、病院の各種機能について客観的にチェックを行い、全ての評価項目について一定水準以上にあると認められた場合に認定証が発行されるという制度です。審査では、「病院組織の運営と地域における役割」、「患者の権利と安全の確保」、「療養環境と患者サービス」、「 医療提供の組織と運営」、「医療の質と安全のためのケアプロセス」、「病院運営管理の合理性」、「精神科に特有な病院機能」の7つの領域でチェックを受け、認定を取得することができました。当院では、今回の認定取得に満足することなく、今後とも職員一丸となって「信頼される質の高い医療の提供」を目指し、より一層の向上に努める所存ですので、宜しくお願い申し上げます。

総括

 貴院は、開設以来、精神科病院として、地域に貢献され実績も残されている。また、精神障害者の社会復帰支援に向けた積極的な取り組みも行われている。病院は閑静な木立に囲まれた環境に立地している。とくにセンターガーデンは自然の光、四季折々の草花、緑・樹木が病棟や待合ホール、食堂等から常時、観賞できるよう配置・整備されており、院内の色調やインテリア等にも配慮した「いやしの環境」への取り組みは優れている。今後、ますます発展・充実されることを期待したい。

1.病院組織の運営と地域における役割

 病院の理念・基本方針は、確立・明文化され病院の内・外に周知されている。精神科の急性期・思春期に特化した病院として、着実な将来計画の下、情報管理システムの構築やQC活動への取り組みなど、あらゆる面で病院管理者・幹部のリーダーシップが発揮されている。病院の組織運営では、栄養課の明確な位置付けが望まれる。情報管理機能については、積極的に取り組まれており適切である。職員の教育・研修は、計画的に実施されており、院外への学会・研修会等への参加も奨励されている。地域における病院の役割も明確であり、ホームページの充実や広報誌などによる情報発信とともに、積極的な連携が図られている。健康増進と環境については、病院主催のふれあい祭りを通して地域交流を図り、敷地内全面禁煙を達成している。市の環境保全行動計画に参加し、環境対策の面でも具体的な努力をされており評価する。平成16年から、自主的なQCサークル活動が進められており、継続的な質改善にも適切に取り組まれている。

2.患者の権利と安全の確保

  患者の権利は、明文化され周知・徹底も図られている。倫理については、職業倫理が中心であり、臨床倫理は明確とはいえない。また倫理委員会は外部委員も加えた構成も検討されたい。説明と同意の方針・手順は明確であり、患者・家族との診療情報の共有、診療記録の開示にも対応されている。また集団療法を主とした疾病教育への積極的な取り組みも行われている。患者の安全確保に向けた体制は確立しており、安全確保の手順等も整備されている。ただ、インシデント・アクシデントの報告書の提出は看護部が中心である。病院組織全体での取り組みに期待したい。医療事故への対応は適切である。医療関連感染管理については、院内感染対策委員会が機能しており、マニュアルの整備や情報提供も行われている。院内教育も確実に実施されている。院内では月例の症例検討会が多職種により開催されている。病棟でも多職種の参加によるカンファレンスが行われており、チーム医療への推進が図られている。今後、診療のさらなる標準化に期待したい。

3.療養環境と患者サービス

 案内機能について、接遇教育も実施されており、受付や案内には配慮されている。ただし、院内の案内表示は小さくわかりにくいため工夫を望みたい。外来待ち時間が定期的に把握され、短縮のための努力が行われている。医療連携室も兼ねた相談窓口には専従のPSWが5名配属されており、患者・家族の多様な相談に対応されている。患者・家族の意見や苦情は、定期的な満足度調査や意見箱から、サービス向上委員会が機能を発揮し、適切に対応されている。施設・設備の利便性では、売店や喫茶などの生活延長上のサービスは整備されているが、一部玄関等の段差解消に工夫が望まれる。また外来トイレの検尿設備についても検討されたい。療養環境について、全病棟から見渡せる中庭には四季の草花や樹木が常時、観賞できるよう配慮されている。院内の色調やインテリアも整備されており、いやしへの環境への配慮は適切に行われている。ただし、外来トイレや浴室など、さらに安全性への配慮が望まれる。

4.医療提供の組織と運営

 診療部門の体制は確立しており、診療上の指針・手順も整備されており定期的な医局会で診療業務上の問題点が検討されている。また昨年度より医師の客観的評価も行われている。看護部門の組織運営、能力開発、職員の教育・研修は適切に行われており、看護ケア提供の基準・手順も整備されている。薬剤部門には3名の薬剤師が確保されており、薬品の保管、調剤、鑑査も適切に行われている。今後、薬剤管理指導の充実を期待したい。臨床検査は機能に見合った体制が整備されている。画像診断機能は医師によって撮影等の業務が実施されているが、診療放射線技師の確保も考慮されたい。洗浄・滅菌業務は、オートクレーブが1台のみであるが、確実な滅菌の保障は十分とはいえない。栄養管理機能について、NST活動は進められている。栄養指導の積極的な実施も期待したい。リハビリテーション部門では、4名の作業療法士が確保され基準・手順も整備されているが、病状変化時等の処方変さらにも取り組まれたい。診療記録の管理では、リハビリテーション実施記録などを含めた一元化が始められたばかりである。情報システム管理機能は、各部門の責任者を定め適切に管理されている。在宅療養機能、外来診療機能、医療機器の管理はいずれも適切に行われている。

5.医療の質と安全のためのケアプロセス

 病棟の方針・目標は、病棟医と看護部で策定されている。入院時に主治医と受け持ち看護師名が文書で渡されているが、ベッドサイド等へは病院方針で明示されていない。入院の目的は明確であり、説明・同意も適切に行われている。ただし、入院診療計画書は多職種による作成が望まれる。医師による指示出しが行われ、指示受け・実施の署名も確実に記載されている。医師の回診記録については、記載内容の充実を期待したい。基本的な身体ケアは計画に沿って実施されており、担当PSWによる社会的支援も行われている。診断的検査の説明や評価は適切に行われている。投薬・注射はオーダリングにより院内統一の方法で処方されており、確実に実施されているが、注射薬の調製・混合には薬剤師の関与を検討されたい。栄養管理については、栄養指導の積極的な実施に期待する。リハビリテーションについて、初期評価・目標設定・実施は適切である。今後、病状変化時の再処方や目標の変更などにも取り組まれたい。感染対策では標準予防策などは実施されており、針刺し事故発生後のフォロー体制の手順も作成されている。診療・看護の記録について、リハビリテーション実施記録、薬剤管理指導記録の一元化を徹底されたい。病棟の薬剤・機器の管理、ベッド・マットへの配慮は適切に行われている。

6.病院運営管理の合理性

 人事・労務管理は、諸規程の整備、就労管理など適切である。必要な人材の確保では診療放射線技師の確保について検討を望みたい。人事考課は定着しており、処遇にも反映されている。労働環境では、健康診断、労災対応、福利厚生面や育児と仕事の両立支援対策などを積極的に進め、働きやすい職場づくりに努力されている。職業感染への対応では必要な職員へのHBVワクチンの接種が始まったところである。財務会計は病院会計準則に基づいた処理が行われているが、外部監査の導入も考慮されたい。予算・経営管理、医事業務、病床管理も適切に行われている。施設・設備の管理は、総務課が担当し、日常点検をはじめ定期的な保守点検も実施されている。院内の清潔管理、廃棄物の管理、物品管理、業務委託の管理も適切である。災害発生時の対応では、防災マニュアルの整備や訓練は実施されている。しかし、大災害時の食料品の備蓄体制は検討が望まれる。医事紛争への組織的な対応については適切に行われている。

7.精神科に特有な病院機能

 任意入院、医療保護入院の管理は適切に行われている。措置入院や医療観察法鑑定入院の対応も適正である。精神科救急については、市精神科救急輪番制に参画しており、それ以外でも診療所の紹介があれば対応しており、救急医療への積極的な姿勢がうかがえる。閉鎖・開放病棟の施設環境は整備されており、入院形態ごとの処遇も法令に則って行われている。隔離、身体抑制は基準・手順に基づいて適切に行われている。入院初期からリハビリテーションを意識した取り組みがされており、入院初期・回復期・慢性期と段階的な関わりを持ち、毎朝の病棟カンファレンスで情報の共有化も図られている。入退院に関する事務手続きは、PSWが関与して行われている。患者活動からの収益や預り金の管理も適切である。抗精神病薬は単剤化への対応が行われ薬剤部でも処方動向を把握し、多剤処方は医師に連絡するなどの努力がされている。m−ECTが積極的に行われており、医局会で適応についても十分に検討されており、患者への説明や同意も適切である。身体合併症に対しては適切な対応があり、他科受診も必要時には迅速に行われている。

平成17年6月20日 「精神科病院」ver.4.0  で認定
平成22年3月5日 「精神科病院」ver.6.0 で認定

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