このページはPSW(小林・松田・石川・ 伏見)が担当致します。
        アルコール依存症
 治療プログラム

  
  アルコール関連問題は公衆衛生上の重要な課題です。我が国ではアルコール消費量の増加に伴って、この問題は深刻度を増してきています。日本での大量飲酒者は約200万人と推計されており、このうち、専門施設、精神病院に入院治療を受けているのは約2万人とされています。このページでは、アルコール依存症についての診断、関連問題、治療などについての概略と当院で行っている治療戦略について紹介致します。

  あなたはアルコール依存症でしょうか?
 次の診断基準に当てはめてみて下さい。過去1年間に以下の6項目のうち3項目以上で依存症。
1. 飲酒への強い欲望または圧迫感 節酒、断酒しようとするが、再び元の飲み方に戻る 飲酒運転の反復、朝酒・隠れ飲み、飲んで電話をかけまくる、入院中の飲酒、 連続飲酒、山型飲酒サイクル
2. 飲酒開始、飲酒終了、飲酒量いずれかのコントロール障害
朝酒、仕事中の飲酒、翌日仕事にさしつかえるまで・悪酔い・臓器障害まで飲む
3. アルコール中止または減量した時の生理学的離脱状態
自律神経症状の出現、離脱状態が飲酒の中止・減量によって生じ、
再飲酒によって消失ないし減弱する
4. 耐性の証拠
酔えるまでに必要な飲酒量が増えている
5. 飲酒中心の精神生活
飲酒のために他の楽しみや趣味を次第に無視し、飲酒時間が多くなったり、
酔いが醒めるのに時間かかる。生活の多様性を失っている
6. 明らかに有害な結果が起きているのにアルコールを飲む
臓器障害、日常生活の不利益があり、飲酒を止めるように指示されても飲む
  アルコール依存症は精神依存・身体依存・耐性の3要素から成り立っています。つまり、精神的にも身体的にも飲酒を止められない状態にあり、酩酊を得るための酒量も以前よりも増大していることです。
 飲酒の形態 
@機会飲酒:一般的な飲み方、何か機会がある時に飲む 
A常習飲酒または習慣性飲酒:不満の解消や不安・緊張感の開放をアルコールに求めてしまい、毎日飲酒することが習慣になってしまう。毎日、日本酒に換算して3合以上の飲酒を5年続けた者 
B大酒家:毎日、日本酒に換算して5合以上の飲酒を10年続けた者です。

アルコール依存症の症状にはどんなものがあるのでしょうか?
(1)飲酒行動
@強迫的飲酒欲求:断酒や適量飲酒を決心して実行するが、すぐに耐え難い飲酒欲求によって元の過度の飲酒に戻ってしまう。
A連続飲酒発作:何日間は断酒出来るが一度飲酒を開始すると、覚醒している間はアルコールを飲み続ける。
B山型サイクル:飲酒→酩酊→入眠→覚醒→飲酒といったサイクルを連日繰り返す。
C「負の強化」への抵抗:アルコールに起因した身体疾患や経済的破綻、家族関係の崩壊、職業上のトラブルなどの社会的問題など自分にとってアルコールがマイナス要因なのに飲酒を続ける。
(2)精神神経症状
@早期離脱症状(小離脱):最終飲酒から7〜48時間
自律神経症状(動悸・頭痛・頻脈・発汗、寝汗・不眠)、神経症状(手指振戦・筋肉のれん縮・拘縮・ミオクローヌス・全身の硬直間代性痙攣)、情動症状(不安・抑うつ・易怒性・易刺激性・希死念慮)、一過性の錯覚・幻覚(小視性幻覚・こびと幻視・要素性幻聴)
A後期離脱症状(大離脱):最終飲酒から48〜96時間で始まり、2〜3日続く。
振戦せん妄:意識混濁をきたし幻聴・幻視を伴うせん妄状態を呈する。虫が見えるという幻視が特徴的で床や壁を這っている小動物を必死になってつかもうとする虫取り動作がみられる。また、見当識が障害され、患者の職業の動作(作業せん妄)を呈する場合もある。
    他に抑うつ状態、不安状態、記憶力低下などの精神症状が出現することがある。
(3)身体症状、臓器障害
アルコール性肝障害(脂肪肝・肝炎・肝硬変・肝癌)、消化管疾患(Mallory-Weiss症候群・食道静脈瘤破裂・急性胃粘膜病変・胃潰瘍)、膵疾患(急性膵炎・慢性膵炎)、糖尿病、心疾患、食道癌、痛風、感染症、皮膚炎
アルコール依存症の予後:平均死亡年齢50歳、死因は突然死、肝不全、事故死などである。
アルコール依存症にはどんな治療をするのでしょうか?
@アルコール離脱症候群・身体症状の治療、A問題飲酒の矯正、B社会復帰のリハビリテーションが中心です。入院で行うか外来で行うかはそれぞれの状態によって異なります。
アルコール依存症の患者さんは飲酒の関する問題を「否認」することが特徴で、患者自身が「気づき」を得るように「動機づけ」を行うような治療が必要となります。

五稜会病院におけるアルコール依存症治療プログラムについて


4段階に分けるとわかりやすいかと思います。入院治療の起承転結です。アルコール依存症治療のクリニカルパスとして用います。
  第1段階(起):入院初期
入院当初はアルコール離脱症候群・身体症状の有無、その治療が中心となります。まずは身体・精神に異常がないか、生命の危険はないかどうかを血液検査、エコー、XPなどでチェックします。
糖尿病、高血圧などの合併症は必要があれば内科担当医の診察を受け、薬物調整を行います。
  第2段階(承):治療導入期
離脱症状、身体的に重篤な異常がなければ、アルコール集団療法・勉強会に参加してもらいます。
当院では数種類の集団療法を行っており、以下に記載致します。
  第3段階(転):安定期
アルコール問題について動機づけが出来てくる頃です。「集団療法に出席してためになった」と言う方がたくさんおられます。現実について直視でき、「否認」がなくなれば、退院について検討することになります。
  第4段階(結):退院前期
そろそろ退院が近づいた頃です。身体のチェックを再確認。肝機能異常がないかどうか。糖尿病のコントロールは良いか。退院後の生活についての確認。通院は週に何回か。集団療法の参加は。断酒会への参加はどうするか。  などを確認しあいます。
  退院後
本当の治療は退院後からです。退院はアルコール依存症治療の終わりではなく「始まり」です。
しばらくは病院・集団療法・断酒会など治療システムの中にとどまり、アルコール依存症であることを常に再確認しましょう。
五稜会病院における集団療法
   (当院ではアルコール依存症に詳しい精神科ソーシャルワーカー・看護者が担当しています。)

勉強会(毎週火曜日午後3:00から4:00)  
集団精神療法(毎週木曜日午後1:45から3:00)
院内札幌マックミーティング(毎週金曜日午前10:30から11:30)
家族会(第3金曜日午後2:00から3:30)
AA時計台グループミーティング(午後7:00から8:00)
やすらぎOB会
(平成11年度は10周年記念行事として温泉1泊旅行)
     11月6日(土)石狩市「番屋の宿」で総勢20名で一泊研修・親睦会を開きました。
  新装オープンしたばかりのきれいな温泉で皆、存分に楽しみました。
平成12年〜18年
  
石狩市「番屋の宿」で宿泊研修会。
  やはり、共にアルコール依存症を戦う仲間がい れば心強いですね。
平成19年17日
  
石狩市「番屋の宿」で宿泊研修会開催、参加者約10名。冬はやっぱ温泉が一番。

治療プログラムをお知りになりたい方はソーシャルワーカーにご確認下さい。

アルコール相談電話 773-9896

    診療案内  診療内容    

  全日本断酒連盟  ASK(NPO法人・アルコール薬物問題全国市民協会

 

 


お勧め映画
 『酒とバラの日々』

 
アメリカのTV作家J・P・ミラーの脚本を「追跡(1962)」のブレイク・エドワーズが監督した社会ドラマ。撮影はフィリップ・ラスロップ、音楽は「ハタリ!」のヘンリー・マンシーニでアカデミー主題歌賞を受賞。出演者は「悪名高き女」のジャック・レモン、「追跡(1962)」のリー・レミック、「白昼の決闘」のチャールズ・ビックフォードなど。

 

 サンフランシスコにある宣伝会社の渉外係ジョー・クレイ(ジャック・レモン)はお得意先のパーティーで、大会社の秘書カーステン・アーセン(リー・レミック)をセミ・プロの女と間違えて怒らせてしまった。翌日ジョーは彼女に詫び、何度も食事に誘って仲直りした。陽気で酒好きのジョーとは反対に、カーステンは甘党だったが2人は強くひかれ結婚。植物園を経営するカーステンの父エリス(チャールズ・ビックフォード)にこれまでのことを話したが、不機嫌な父の顔を見た彼女は、生まれて初めて自分から酒を求めた。幸福な月日が流れ、デビーという女の子も生まれた。ジョーは社用を口実に相変わらず飲み続け、カーステンも彼に付き合って少しづつ飲む。ジョーは酒の上の失敗で減俸され、出張がちになった。カーステンは酔い潰れてアパートを火事にし、この事件でジョーは遂にクビになった。デビーは8歳になったがジョーは次々に職を変え、彼女も飲んだくれになった。2人は禁酒しようと努力したがいつも失敗。貧民街に住むようになった一家はエリスの植物園で働くことになり、一時は健康を回復した。だが、こっそり持ち込んだ酒で2人とも酔い潰れ、ジョーは強制的に入院。彼はアル中患者更生の相互補助団体(A・A)の集会に出るようになったが、カーステンはアル中ではないと言い張って家出。簡易旅館で彼女を見つけたジョーは、誘惑に負けてまた酒の虜になる。A・Aの補導員は彼女をエリスに預け、ジョーが更生するまで会えないことになった。1年経ち、真面目に働き続けて小綺麗なアパートに住むジョーの所にカーステンが現れ、節酒を誓った。だが自分をアル中と認めない彼女はジョーの言葉に絶望して去る。目覚めたデビーが、ママはいつ戻るのと聞いた時、病気が治ったら帰ってくるよと答えたジョーは、デビーを抱きよせ「勇気と知恵を与えてください」とA・Aの決めた言葉で祈るのだった。